短編 「ぼくは斎藤マイケル」(2)

※この内容はフィクションです。実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません。


コンパの日、僕はそこに薬学部の女性たちが集まっていることを知っていた。

自己紹介からはじまる。

「はじめまして、私○○大学薬学部の原口みさでーす☆」

この女(ほかの女はどうでもいい)はまるで女優のような美しさを秘めていた。上品で整った顔の骨格が、そこから表出されるタンパク質の結晶がどのみちを通っても必ず芸術品になることを確約していた。



僕は唾を呑んだ。そしてまた固まりもした。


僕は自分を憎悪した。普段自分の対象外になる女を僕はひどく見下し唾すらもひっかけたが、今僕は相手の、度肝をぬく美しさと女性らしい愛らしいかわいらしさによって蛇に睨まれたカエルのようになっている。


この僕がまるで!



そしてコンパは進行する。事態の詳細を、この日記を読んだあなたに把握してもらうことは目的から外れる。しかし、混乱を避けるため、簡潔に記しておこう。


女は3名。男は僕も含めて4名だ。


というのは本当は3:3だったが壕矢という3年のクソ野郎のせいだ。こいつはいつも自分の身に合わない女の尻を追いかけ回している淫獣で、法律が許せば刺し殺してやりたいほど不快の代名詞のような男で、
下品だった。




こいつが今回のコンパに割り込んできたのも、原口みさを口説きたいがためであった。そしてこいつは後輩が何も言えないことをいいことに、原口みさの隣に座った。



明らかに全員が不快感を感じていた。女たちは戸惑っていた。

僕は原口みさを救わなければならないと思った!


気づいたらポケットからサバイバルナイフを取り出した僕。手が震えていたため抜くときに自分の左手を軽く切った。


だがそのままひるまずに僕は壕矢の鼻を狙い、かわされ、大騒動に。僕を静止しようとした平山の喉を刺したため平山が倒れる。女たちの顔が青ざめる。





原口さん、僕をそんな目でみないでよ・・・



僕は激昂した。壕矢は素早くボックスから逃げ、僕は原口みさにものすごい憎悪を感じた。


(つづく)