短編 「ぼくは斎藤マイケル」(3)

※この内容はフィクションです。実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません。




気づくと僕はヤクザたちに囲まれ、しめ縄のようなものでくくられて血まみれで倒れていた。

体全体がすごく痛い。この痛みは、何よりも僕が現実にここにいるということを示した。僕の一生(18年の生涯)というものはまるで漠然とした抽象画のようなもので、何一つ幸福と言えるような経験はなく、つねに欠乏と嫉妬を抱えていた。

だが今、僕は非常に穏やかに死のうとしている。


原口みさが暴力団原口組の幹部の娘であり、僕がしたことの連絡が彼女の父に言ったらしい。



痣だらけになって白目を剥いた壕矢が隣で許しを乞うていた。


僕はもうどうでもいいと思った。



(おしまい)